イスラエルとパレスチナ・ガザ地区の戦闘が激化し、民間人が悲惨な状況に置かれ、多くの命が失われている中、アムネスティ・インターナショナルは2023年に引き続き、ガザでの即時停戦を求めるとともに、イスラエルおよびパレスチナの武装組織による戦争犯罪その他の国際人道法・人権法違反を調査・記録してきました。そして、12月、イスラエルの行為はガザのパレスチナ人に対するジェノサイドだと結論づける報告書を発表。世界中でジェノサイドをやめるようイスラエルに求める要請活動を展開しました。アムネスティ日本も署名活動のほか、ガザでの状況を伝えるセミナーを行いました。

2024年は、強権主義的な国々だけでなく、欧州全体で抑圧的な法律が導入され、監視が広く行われ、抗議の声を上げる人たちが暴力的に弾圧されたり犯罪者扱いされたりしました。アムネスティは、抗議する権利を守るためのグローバルな活動を行っており、アムネスティ日本でもオンライン署名やワークショップなどを展開しました。

国際的に行ったキャンペーン

国際キャンペーン「Protect the Protest」

「相手の提案に対して肯定し(Yes)自分も参加する(and)」という演劇の原則を取り入れた「Yes, and」体験演劇ワークショップを、「LOLOET Trois」のパフォーマンスと共に実践しました

海外では、政府の政策に抗議する集会に参加したりSNSで非難したりする人たちが、不当に逮捕され暴力を受けるなどの人権侵害に遭っています。声を上げる空間がこれ以上萎縮しないよう、アムネスティ日本は世界中のメンバーと一丸になって、人権のために行動する人たちを守るオンライン署名を行いました。

日本国内でも声を上げる空間を守るために、彫刻家や映画監督、ミュージシャンなどそれぞれの分野で声を上げて活躍している人たちを招き、自分らしいやり方で社会活動に取り組むことの大切さについて学ぶワークショップを開催しました。12月の人権デーには、その集大成として、「声を上げて変化を起こす」を実践している和田彩花さんの所属するバンド「LOLOET Trois」、非戦の声を上げ続ける元イスラエル兵ダニー・ネフセタイさん、袴田事件弁護団の戸舘圭之さんをゲストに招き、「PEOPLE POWER!私たちは無力じゃない」と題したイベントを開催しました。

<実施したオンライン署名>
SNSで女性の権利を支持して11年の実刑 サウジの女性を救って!
アルゼンチン:平和的に声を上げただけで失明したホエルさんに救済を!

緊急対応

パレスチナ危機 ガザのジェノサイドに終止符を!

パレスチナ・ガザ地区でイスラエルによる攻撃が激化する中、アムネスティ日本では11月、元・国連パレスチナ駐在員の髙橋宗瑠さんに、この一年で見た変化やトランプ氏の米国大統領再選などを経た今後の展望についてお話を伺うオンラインセミナーを開催しました。12月には、イスラエルのガザでの行為はジェノサイドであると断じるアムネスティの報告書の公開に合わせ、ジェノサイドの停止を求めるオンライン署名を開始。公開からわずか3日で3,000を超える署名が集まりました。

突然の戒厳令!? いま韓国で何が起きているのか

12月、韓国が尹錫悦(ユンソンニョル)大統領の突然の戒厳令宣布で大きく混乱したのを受け、緊急のオンラインセミナーを開催しました。現在の国内の状況と、韓国社会における戒厳令の効力について、アムネスティ韓国支部の調査員に語っていただきました。

アジア地域の人権

脱北者アン・ミョンチョルさんがアムネスティ韓国の職員と共に来日!

アムネスティ韓国は2022年、約60人の脱北者からの証言をまとめた『60+Voices』を出版しました。正確な情報にアクセスすることさえ困難な中、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が直面している危機的状況を多くの人に伝えるべく、アムネスティ韓国のチェ・ジェフンと、North Korea Watch事務総長で脱北者でもあるアン・ミョンチョルさんが来日し、グループとチームが中心となって、東京、神奈川、愛知、大阪の全国4カ所で講演会を開催しました。

国内法制度の取り組み

死刑廃止

再審裁判を行なっていた袴田巖さんに対し、9月26日、静岡地方裁判所は無罪判決を言い渡しました。アムネスティは、世界中で検察に対し異議申し立てをしないよう求める署名活動を即時に開始し、日本をはじめニュージーランドや台湾などから集まった署名を静岡地方検察庁に提出しました。検察は控訴を断念し、10月9日、ついに袴田さんの無罪が確定しました。この判決に先立ち、アムネスティ日本はアムネスティデンマークに所属する医師グループと連携し、刑事訴訟法第479条に関し、その判断に深く関与する医療従事者の3団体に死刑に関する見解を問うアンケート調査を実施しました。結果を報告する記者会見は大手メディアの注目を集め、死刑制度が抱える矛盾について社会に広く問いかけました。

その他、5月には最新の統計をまとめた報告書「2023年の死刑判決と死刑執行」を発表。チームが中心となって死刑廃止を考えるトークイベントや死刑制度について考える入門セミナーなどを定期開催し、日本の死刑制度の問題を広く発信しました。

気候変動と人権

気候変動の問題は私たちが安全に暮らす権利を脅かす深刻な人権問題です。日本には、地球温暖化の主な原因である化石燃料(石炭、石油、天然ガスなど)の段階的廃止を進める大きな責任があります。こうしたことを国内に広く伝えるため、YouTube特設チャンネル「Amnesty Climate Education」を立ち上げ、情報を発信するとともに、アムネスティ国際事務局の調査員によるウェビナー「米国石油化学産業の環境負荷と日本への影響を考える」を開催しました。また、一緒に活動する仲間を増やすため、「燃やさないで!私たちの権利『気候変動と人権を学ぶ』ワークショップ入門編」を定期的に行いました。

ビジネスと人権

2024年、アムネスティは「ビジネスと人権」の分野において、米国の石油化学工場による環境汚染や、コンゴでのコバルト・銅鉱山の拡大にともなう強制立ち退き、また電気自動車メーカーの人権デューディリジェンス評価など、さまざまな報告書を発表しました。アムネスティ日本では、報告書作成に携わった調査員によるオンラインセミナーや、参加型ワークショップなどを、ビジネスと人権チームが中心となって実施しました。特に電気自動車メーカーに関する報告書の発表の際には、11月にアムネスティ国際事務局から「ビジネスと人権」分野担当職員が来日し、国内の自動車メーカーや官公庁の訪問、大手企業や環境保護団体との意見交換を行い、日本における問題点や将来に向けた改善のポイントについて提言しました。

人権教育

学生や新入社員など若年層を対象とした新しい講演プログラムの提供を開始しました。高校や大学などで計700人を超える生徒・学生が聴講し、「小さな力が大きな変化を生むという事実に希望を持てた」「当たり前が決して当たり前ではないことに気づいた」等、多くの感想が寄せられました。

2024年に実施したその他の主なイベント

イベント

ライティングマラソン2024

ライティングマラソン

暴力をもちいていないのに、自らの信念や人種、宗教、肌の色などを理由に囚われの身となった人たちの自由を求め、世界中の仲間とともに手紙を書く、アムネスティ恒例のイベント「ライティングマラソン」。フラッシュモブやコンサート、マラソン大会など、2024年も世界中でさまざまなイベントが開催され、4,662,638通の手紙やハガキ、署名が関連当局や人権侵害に遭っている人たちに届けられました。日本国内でも、20を超えるグループとチームが全国各地でイベントを行いました。

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